人事部 シニアHRオフィサー / Senior HR Officer
ワシントン本部勤務
『人事のプロフェッショナルとして今まで自分が培ってきた職歴や経験が国際機関でどの程度通用するのか試してみよう。』半年前に知人よりIFC人事のポジション募集について偶然話しを聞いたことをきっかけに、私は2012年初夏、東京からワシントンDCに移りIFCでのキャリアを開始しました。
私は東京で生まれ育ち、大学時代に奨学金を取得し2年間留学、さらに社会人になってからMBA留学を経験し、計4年間を米国東海岸で学生として過ごしました。社会人としてのキャリア初期には外資系証券会社の株式派生商品部門にてトレーディング業務に従事、MBA取得後は、新卒採用に携わったことをきっかけに、人事部門の業務に転向しました。その後、金融以外の他業種も経験してみたいとの考えから、外資系ヘルスケア業界の人事のポジションに転職しました。さらにそこで、グローバルの人事の大規模プロジェクト担当となり、アジア地域のメンバーとして、地域15か国を網羅するプロジェクトに携わりました。その後、日系企業のメディカル事業部門のグローバル人事として、東京、シンガーポール、米国西海岸を中心に働いていた頃、IFCのポジションを知りました。
米国留学から帰国して15年以上、日本をベースに国内外の同僚や上司と仕事をしてきたので、IFCの人事のポジションについて、最初は他人事のような感じで話を聞いていました。私にとって国際機関という、今まで接点のない組織、ましてやワシントンDCに居住を移して仕事をすることは、キャリアパスの想定外でした。しかし、IFCのビジネス、国際機関における途上国の開発業務、人事部門の職務内容について知れば知るほど、挑戦してみたいという気持ちが高まりました。感覚としては、日本のスポーツ選手が海外に出て、大リーグなどで挑戦してみたいと思う気持ちと似ているのかもしれません。また『グローバル人材』なる言葉も次第に使われ始めてきたのもその頃かと思います。書類選考、電話・ビデオ面接、本社での面接を通過し、2012年からIFC本部の部門担当の人事として勤務中です。
最初の二年間はファイナンス、リスクマネジメントなどの本部コーポレート部門の人事を担当しました。現在は、インフラ、テレコム、ベンチャービジネスなど、IFCの途上国民間セクター開発ビジネスをグローバルに担う部門の担当人事をしています。職務内容は、担当部門のマネージメントのビジネス戦略を元に、部門内の人材に関する戦略を構築、パフォーマンスマネージメントや育成、キャリアに関する個々のニーズを、マネージャーや職員と共有、実行に移すことが主な業務です。職種としては、これまでの民間企業での人事部門や、グローバルプロジェクトでの経験の延長線上にあると言えます。その上で、現職で要求されるのは、職員の多様性、グローバルの規模、開発ビジネス特有の環境、世界銀行グループとしての方針など、国際機関ならではの課題に対し、いかに効率かつ効果的に、人事のプロフェッショナルとして解決策を提供し、担当部門のニーズに貢献できるかということだと考えています。そのような中で、“I want to pick your brain (知恵を貸して) “と担当部門のマネージャーや、同僚から言われる時が、『しめた!』と思う瞬間です。
IFCに入社して一番衝撃的だったのことは、職員の多様性(ダイバーシティー)およびグローバルの規模です。組織の特色として、私がまず挙げることの一つです。これらの点については、今までの留学や、企業でのグローバルプロジェクトを通じて、自分では比較的経験を積んできたと考えていました。しかし、ここでの多様性、グローバルという言葉は全く次元が異なります。今でもIFCで勤務を開始して最初の一か月間、組織内で会う人会う人が、全く異なる国の出身だったことを鮮明に覚えています。また、国名を聞いて、後でこっそり世界地図を確認したこともありました。アフリカ、中東、中南米など、今まではあまり接点のなかった出身国の同僚から、オン・オフ共に様々なことを学ぶことができます。勿論、このような環境で仕事に携われることが楽しい一方、多様性を重視する組織だからこそ、難しい点も多々あり、日々新たな課題に直面するのも事実です。
多くの方は日本人、あるいは日本語が堪能な方で、IFCのキャリア及びビジネスに何らかの興味をお持ちであると理解しています。IFCの内側から外を見ると、もっと多くの皆さんにIFCでのキャリア、さらにはグローバルでのキャリアに挑戦してもらいたいと思います。実際、少し前の私もそうでしたが、『国際機関』という言葉のイメージが壁を作っているような気がします。日本国内でキャリアを構築すること自体を否定するわけでは全くありません。ただ、単一な人種、言語のみではなく、多様な環境に身を置くことで、応用が効き、さらには個々の貢献度が高まると考えています。将来的には、現在のIFCでの経験をもとに、後に続く皆さんが、グローバルな環境に出て成功する後押しを何らかの形でできるような貢献をしていきたいと考えています。