Story

IFCという組織に惹かれて

2019年8月29日

黒木 友里 / Yuri Kuroki

財務部
ファイナンシャル・オフィサー
ワシントンDC勤務

経歴

  • 2019年 シンガポール経営大学院(応用ファイナンス学)卒業
  • 世界銀行グループ日本理事室に出向、2016年 IFC入社 シンガポール事務所にて資金調達・IRを担当
  • 2009年 カナダ・マギル大学(国際開発学)卒業、 国際協力銀行に入社 アフリカ向け融資や、財務部にて資金調達を担当

IFCでは、金融やインフラ、あるいは製造業、農業など、各分野におけるスペシャリストたちが、民間セクター支援を通じ、途上国の経済成長や雇用創出の促進に尽力しています。私は出向の機会を通して、IFCの役割と取り組みをより間近に知り、そこで働く人々に出会い、IFCという組織に無性に惹かれるようになりました。

私の漠然とした開発への関心は、「途上国」を初めて経験した小学生、国際会議に出席する女性国連職員の存在を知った中学生の頃から芽生えていたと思います。大学で開発学を専攻し、講義という形ながら、民間セクターの成長が途上国の発展のエンジンとなることを学び、卒業後は、日本企業による途上国への海外事業展開を支援する国際協力銀行に就職しました。融資担当者として初めて訪れたアフリカでは、各国政府が実際に民間セクター向けの支援を求めていることを認識するとともに、国籍に縛られずに途上国に進出する企業を支援したいという気持ちも高まりました。

そうした中で得たのが世界銀行グループの日本理事室への出向の機会でした。IFCが理事会に諮る案件は、一国を支えるエネルギー案件から、貧困層による資金アクセスの拡大を目指すマイクロファイナンスや最先端のフィンテックへの投資等、多岐に亘り、先駆的な取り組みが多くありました。また、こうした案件を手掛けるチームは、各分野のインベストメントオフィサーや、環境、法務等のスペシャリストから成り、案件の審議に先立ち行われた彼らとの協議からは新しく学ぶことばかりで非常に面白いものでした。私は次第に、この人たちと働きたい、自分であったらどのようにIFCに、そして途上国の民間セクター支援に貢献できるだろうかと考えるようになりました。答えを求めて、とにかく様々な部署の担当者から局長まで「話を聞かせてください」とコンタクトしたことを覚えています。そうして巡り合ったのが、財務部のFundingチームであり、日本のリクルートミッションで募集があった資金調達・IR(インベスター・リレーションズ)担当のポジションでした。

 

IFCを支える資金調達と、IFCの情報発信役であるIRの仕事

Fundingチームは、国際金融市場において債券を発行し、IFCの投融資のための資金を調達します。IFCの財務部は、国際機関の中でもユニークな「Global Treasury」という戦略のもと、本部ワシントンD.C.のみならず、ロンドン及びシンガポールにも拠点をおき、世界中の投資家の投資ニーズに迅速に応えられる体制をとっています。

シンガポールからはアジアの市場をみており、私が担当する市場の一つは、IFCの資金調達の1割超を占める日本市場です。私は、少しでも多くの日本の投資家の方々が、IFC債への投資を通じてIFCの取り組みに関心をっていただくことで、途上国の発展に貢献するお手伝をしたいと考えています。最近では、日本でもSRI(社会的責任投資)債への関心が高まっていることを受けて、調達資金が低所得者層や女性起業家の支援のために活用される「ソーシャルボンド」を、他国に先立って日本の個人投資家向けに発行できたことを大変嬉しく思いました。さらに、現地通貨建て資金調達の主担当であるTreasury Client Solutionsチームと協働して、アジア諸国の新しい通貨建ての債券発行やそのための投資家開拓にも取り組んでいます。現地通貨建て債券発行により途上国の資本市場の発展に寄与することも、IFC財務部ならではの醍醐味といえます。

 

IFCにご関心がある方々へ

開発に携わる多くの方は、すでに洗練された専門的なスキルや実務経験をもって、世界銀行グループのような開発機関にアプローチするのかもしれません。一方の私は、前述のとおり、まずIFCという組織にほれ込み、ここで働きたいという思いから、様々な職員から話を聞き、自分がIFCで何ができるかを考えました。スキルや実務経験の積み重ねは、まだまだ途上ですが、それでも多くの人と話をする中で、自分にもIFCで役立てられるもの、通用するものがあるのではないかと見えてくるようになりました。また、実際に働いてみて、IFCでは多様なバックグランドの人たちがフェアに垣根なく一緒に働いていますが、同時に、私が日本市場を担当させてもらっているように、日本人であることを強みとして活かすことも可能だと感じました。IFCに少しでもご関心がある方は、是非、IFC職員とお話をしてみて頂きたいです。